旅の本・「GA日記」二川幸夫
2009年8月30日
GA JAPAN誌(編集・発行 二川幸夫)が100号になったのを記念して、創刊の1992年から連載されているGA日記が単行本化された。必ず目を通すお気に入りの記事であり、実際の旅の参考にしていた者としては大変にありがたい。他では取り上げられていない工事中を含む建築のニュースが写真入りで紹介され、かつ的確な批評が添えられていて無理をしてでも立ち寄るべきかなどの判断を与えてくれる。
そして何より1932年生まれの二川さんの行動に、毎回ほんとうに感心する。行先は、ヨーロッパと米国が中心だが、その行動半径の大きさと速さはすごい、毎回の行程を地図の上で確認して驚いている。さらに地域はアリゾナからメキシコまで、フィンランドの北の端の町へも伸びる。インド、パングラディシュへこの期間(92~09)だけでも2度、中国も、南アメリカはブラジルまである。また同じ場所に何度も行かれていて、例えばコルビュジエの有名なサヴォア邸には4,5年に一度は行った方がいいと言われて、こちらは建築家でなくてよかったと思ったりする。
真似することはとても無理だが、せめて興味だけは失わない日常にしなければならないと思う。つまりこれまで黙っていたが、こちらに旅を続けさせてくれるいちばん大きな理由なのだ。現在、地中海を西に向かう旅をしていて最後はモロッコと思っていたが、GA日記で教えられてカナリア諸島まで足を伸ばさなければと、秘かに考えているところだ。
ともかくこれまではバックナンバーをひっくり返して調べていたのが、単行本になってほんとうにありがたい。旅好きの人、とくに建物を見るのが好きな人、現代芸術や建築から目を離したくない方には、欠かすことのできない座右の書だ。