旅をしている人
田原 晋

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本の旅

 前回の続きというか、100号になったJA Japanを読んで、これも紹介しておいた方がいいと思いました。「世界から見た日本の現代建築」という特集ですが、対談とインタービューが9つ、とても読み応えがあります。といって「世界の人が見た」というのではなく、世界の建築を見る目で日本の現代建築を見たら、どう見えるかという視点。つまり日本の特殊な事情や、日本人だけにしか通用しない感性や思考方法から離れてみたらどう見えるだろうかということ。結果として徹底した作品主義、どの作品が世界の目から見てすばらしいものと認められ、歴史に残っていくかということになります。
 結論として、と言ってこんなことはっきりと書いてある訳ではなくて、こちらが勝手にまとめるだけだけど、丹下健三に安藤忠雄、それに続いているのが伊東豊雄、そして妹島和世、隈研吾、それ以後はまだ見えていない。ただ、一時の菊竹清訓がどんなにすばらしかったのか、また坂倉準三が正しく評価されていたら、などの惜しむ意見があって、こちらはまるで知らなかったことを教えられました。結論としては、こちらが思っていたこととそんなに違うものではありませんでしたが、現代建築という分野の厳しい面をあらためて認識しました。建築家についてはまったく別の見方があるのは知っていますが、こういう徹底した視点は明快で気持ちのいいものです。
 といって、世界からの評価という面で見れば建築は、実によくやっているということになります。これから見れば美術も音楽も、もちろん文学も、日本のものははるかに小さな特殊なものでしかありません。
ともかく、そういう日頃にはあまり考えない知的な興奮を与えてくれて、雑誌という媒体のすばらしさを教えてくれました。あ、その意味ではこの3月の「広告批評 最終号」も対談を連ねて、読み応えがありました。

追記)GAギャラリーからDMがって、これを記念する展覧会をするとのこと、上京の機会に寄らなければなりません。
2009年8月29日から10月18日まで、12:00~18:30
GAgallery 500円 場所は東京・JR代々木から歩いて10分

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