旅をしている人
田原 晋

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東京の旅

  東京へ行って来ました、で思わぬ観光案内。いえ泊まったホテルが目黒駅の近くだったので、久しぶりに庭園美術館でも寄るかと思ったが開園前、隣の9時から開く自然教育園に入ってみた。ただの時間つぶしのつもりだったが、これが思わぬ大発見。うっそうとした森にすっかりうれしくなりました、高松藩の下屋敷だった場所で、そんなに広くはないが武蔵野の自然のまま保存されている。
  なるべく手を入れないでおこうという姿勢がうれしい。下草を刈らないでおくと松林の下から育った落葉樹が大きくなって、今はその下に常緑樹が育っていて、森の輪廻がうかがえるとのこと。2~300年の巨樹がある一方で、平賀源内が高松から運び牧野富太郎が発見したという絶滅危惧種の野草・トラノオスズカケが50年ぶりに開花したとの看板もある。またこのところの温暖化で、棕櫚(しゅろ)の新芽が冬を越すことができるようになって増加しているが、どうなるか見ているところだとある。
  ともかく自然を百年単位のスパンで眺めている、その視点にすっかり感心してしまった。国立科学博物館付属の施設でその名前は好きではないが、こういう場所があることはほんとうにうれしいことだ。教室みたいにベンチが並んだ場所も随所にあって、高いこずえをぼぅと見上げることもできる。
  ところで最初はほとんどいなかった訪問者が、10時半を過ぎるとびっくりするほど多くなった。そしてちょっと驚いたのは、すれ違う人にお早うございますと声をかけたら、無視する人がほとんどだ。東京の街路を歩いていた人が、そのまま入ってくるのだから、それが当然のことだろうが、1時間以上もいたこちらには違和感がある。声が返って来たのは、いかにもおのぼりさん風のグループ、そして小さな子とお母さん。とくに子どもはじいじじいじと話しかけてくれて、ありがたかった。
  11時、沢山の人が集まっている門を後にした。そして隣の庭園美術館の食堂、なんとまだ誰もいないテラスでお茶にしたのであります。コーヒーがお盆にお碗、砂糖代わりに干菓子という装いで出てきて、これもうれしくなってしまいます。

  ということで以上、東京の観光は時間を入れるべきだと思いますのでまとめますと、午前9時から9時半に自然教育園に入って、ゆっくりと過ごす。人が多くなってくる11時には外に出て、庭園美術館のテラス食堂でお茶にするか早い昼食にする。これがおすすめです。

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