旅をしている人
田原 晋

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本の旅

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  もうずいぶん前に読んだもの(発行は09年9月)ですが、旅の合間の今回、紹介することにします。加藤仁さんは1947年生まれのノンフィクション作家、これまでに「城山三郎伝 筆に限りなし」「定年後」「定年後の8万時間」など、定年後のサラリーマンを取材して作品を多く出されている。取材した定年退職者はこの30年で3千人以上になるが、その中の何人かに一人が胸おどる旅をしていることに気付いて、あらためてまとめたものが本書ということで、ご自身の例も入っている。
  それらは旅という常識を裏切るようなものも含まれる幅の広いものだ。定年後どうしようかと迷っている方にもヒントになるに違いない。以下の配列、カッコで表示した5章で並んでいる。
  「地域発見!日帰りの旅」散歩から始まった小さな旅が、広がっていく数々。旅は少年の冒険そのものであるようだ。「夫婦で行く旅」その成功例と失敗例。国内キャンピングカーのも、海外レンタカーもある。「男も女もひとり旅」なるほどと思う例がいろいろ。こちらの旅もそのひとつに過ぎないのだが、それでも人によってなぜこうも違うのだろうと思う。「私家版 街道をゆく」東海道、奥の細道、熊野古道、巡礼の旅。確かに私たちは、道が大好きなのだ。「ライフワークとしての大旅行」趣味から研究、執念も、旅とは何だろうと考えさせてくれる。
  中にネットの紹介があって、読みながらそこにアクセスしてみようと思ったが、まだ果たしていない。旅とは、自分の旅こそ人にすすめるにふさわしいすばらしい旅だと思っているが、そう思うようになればなるほど特殊なもの、他人には真似するなんてとんでもないと思われるものになっていくのかもしれない。
  とはいえあとがきで書かれているように、『職場からも子育てからも開き放たれ、たっぷりの時間と自由な発想を反映させて、独創的なわが旅をやってのける。それこそ定年退職者の特権である。この特権を行使することによって、それぞれの人生も、よき方向に変化していくことを、みなさんが証明してくれたのである。この特権を眠らせておくのは、もったいなくもある』こちらのブログの意図とまるで同じなのがうれしかった。

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