旅をしている人
田原 晋

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旅遊びの合間

医院の旅

 何時もの内科の先生はもうずいぶん長いお付き合いで、今のところは、便秘とオシッコというどちらもお通じを良くする薬をもらっている、飲まないとどちらも途端に出にくくなる。まそれはともかく時に、何かトラブルがあるとその先をどうするか水先案内をしていただいている。

1) 最初は顔の日焼け。姪の結婚式でハワイに行ったのだが、ホテルの部屋の窓の下がプール、あまりに気持ちよさそうで出かけたのがまずかったようだ、ほんの1時間だけだったのだが。帰国してから1か月以上たつのにどうも顔面の日焼けが治まらない。やはりこれはおかしいと、皮膚科に行くことになった。
  家の近所のお医者さんだが、有名な名医さんで遠くから来る人を含めていつも満員。肌のトラブルは、現代の社会と個人の関係を敏感に映しているのだと思い知らされた。ちょっとした肌荒れからアトピー、もっともっと深刻な例まで、待合室にいるだけでこれまでに気付かなかった現代社会の厳しさを感じた。やはり、それを敏感に反映するのは、子どもと女性だ。
  こちらは膠原病という診断。その名前すら知らなかったが、難病のひとつ。これはやばいと覚悟したが、肌から現れるのは、それ以上に及ぶことは少ないらしく、ずいぶん長く通ったが、そのうち赤が沈着してよくわからない土色になったので、先生に申し訳なかったが、そのうち行かなくなった。

2)  次は、アドリア海の旅。ホテルでしっかり用を足してから出かけるのだが、すぐに尿意をもよおして我慢できなくなる。トリエステでは、カフェの看板ばかり探しながら歩いていた。ともかく飛び込んでトイレらしき場所に直行する。おかげでそれがどこにあるか、おおよそ想像ができるようになった。そしてもう飲みたくもないコーヒーを注文する。町を歩くというより、カフェに行くために歩いているようだった。ここだけの話だが、ドゥブロヴニクの町を囲む城壁の上で、どうにも我慢できなくなって誰もいないコーナーといってそれは遠くまで見はるかす眺めのいい場所だが、ともかくそこで用を足した。当然それは染み込むことはなく細い水流を描いてやがて太陽の光が消してくれた。もう一度行くことがあれば、その場所をなでて感謝申し上げたい。
  これは当然、泌尿器科だ。なぜ泌という文字があるのかとおそるおそる出かけたのだが、ここは当然のごとくわがご同輩であふれていた。同じ悩みの方が多いのだろうか、車椅子の方もいらっしゃる。この医院はご夫婦でやっておられて女医さんの方は内科、それで待合室はバランスがとれている。
それにしても投薬ひとつで見事に解決して、薬の力にあらためて感心させられた。おしむらくは、それが今も続いていることだ、止めると見事にそれは再発する。考えてみると、お通じをよくすると同時にそれを出にくくしている訳で、ずいぶん勝手なことをしていると申し訳ない気分だ。

3) さて、なぜだかわからないが旅に出ると、鼻水が止まらない。いつもたれ流しながら歩いている。だから出かけるときにポケットティシュは大量に持参する。前回の旅のモロッコでも、同行の女性に鼻水がたれていると何度も注意された。帰国するとそれは治る、何時ものことだから放っておいたのだが、今回は帰ってからどうもおかしい。鼻がつまるだけでなく、喉がつまって声が出にくい。当然、鼻からの呼吸ができないから、すぐ息が上がって口から息を吸う、心臓が早鐘を打つ。これは深刻なトラブルではないか。咽頭、食道、肺のガンの可能性もある。久しぶりに会った友人が心配してくれる。これは耳鼻咽喉科の領分だ。
 子供の頃以来だと出かけると、やはりここは子供の領分、お年寄りもいるが若いお母さんが絵本を読み聞かせたりしている。その中で待つこと2時間。問診票の最後にガンの可能性はありませんか、と書いておいたのを医師は確認してこれはガンではないよとニヤリと笑った感じでのたまう。ほら喉一面にタンがつまっている。と写真を見せてくれる。鼻から落ちてきたのがここにたまったのだ。これを取ればいい、なにか面白がっているようだ。こちらはともかくホッとする。
 もらった錠剤を朝夕の2回飲んだところで、なんと喉は本来こういう感じのものであったと、思い出すほどにスッキリした。以後も飲み続けて1週間後に訪問、そのことを言うと、とはいえまだ完治ではないね、とさらに1週間。帰る前に鼻の穴にガラス管をつっこんでしばらく蒸気を吸う、昔の吸入器の進化したものだろう。結局のところ、鼻の調子は変わらないので、3週間目で無罪放免にしていただいた。喉はすっきりしているが、今もって鼻は完全ではない。とはいえ、気分は最高にいい、ありがたいことだと思っている。


 さて、次は何科に行くのだろう。外科も形成外科も行ったことがあるから、残っているのは脳の関係しかないように思うのだが、ハテ。

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