言葉の旅・ 世界の標準語は英語ではない「グロービッシュ」だ
2011年5月3日
旅から帰って最初に読んだ本、「世界のグロービッシュ 1500語で通じる驚異の英語術」 J.P.ネリエール、D.ホン、訳)グローバル人材開発、発行)東洋経済新報社にとても感動したので、その報告。
帯には<「非ネイティブでも1年で習得可能 「完璧な英語」から「伝われば十分」へ>、さらに小さく<世界中で読まれているバイブル、ついに日本に登場!>とある。
<世界の標準語は英語ではない「下手な英語」だ>とよく言われることだが、それを下手という言い方ではでは違う、それこそが正しいコミュニケーションの言葉だという考え方を提唱している。英語の一段下の言語ではなく、新しい国際言語だという、逆転の発想だ。
言語というものは、生まれたときに(ネイティブ)学ばなければ正しい発音は不可能だ。だとすれば英語を標準語とする限り、ネイティブでない人は正しい言葉使いをすることはできない。それぞれの国地方の訛りや言い方に影響される。例えば、日本人はlとrの発音に苦労する。それは当然なことだと認めることから、出発している。
世界では、英語がネイティブでない人の方がはるかに多いのだから、グローバルな時代を迎えてコミュニケーションの方法は見直さねばならない。その言語をグロービッシュと呼んで、同時に英語の持つ問題点(単語数が多い、発音に一貫性がない、など)を排除して誰でもが習得できるツールとして確立しようと提唱している。もちろんエスペラントについても触れて、それが何故失敗したかについても語っている。つまり言語が文化であるという理解をした上での提唱で、納得させてくれる。とても知的な思考だ。
と同時にそれは具体的に、単語は1500語とその派生語だけ、文章は15語以内にまとめる、発音よりアクセントに注意する、などが示される。そして、本では左ページはグロービッシュ、右ページは日本語と言う対訳で示して、なるほどと納得させてくれる。さらに英語をネイティブにする人もまた、これを学ばなければならないのだと主張している。
この本のことを友人たちに紹介すると、仕事で海外と関係のあった者も、学問の世界にいる者も大変に興味を示してくれた。みんな言葉では苦労をしているようで、この本は希望を与えてくれるようだ。それを聞いて、喋れないこちらはうれしくなる。
後は、アメリカに滞在した経験があるなど、英語に堪能な友人たちの意見を聞いてみなければならないのだが、はて。