旅をしている人
田原 晋

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東北の旅1108

東北/2~十和田 20110830~0831
Touhoku/2~Towada

3・8月30日(火)
 スタバでゆっくりとこれからの計画を考え、切符を買いレンタカーの予約をする。
 9:50仙台発、盛岡乗り換え、12:04八戸着
 13:00八戸発  14:00十和田着
[レンタカー]東北ならではと言うか、レンタカーの使用ははるかに多く充実しているようだ。駅前でレンタカーを借りて、出発~しようとして、サイドブレーキがないことに気付く。なんと足踏み式。係りの人は、最近は各社こうなっていると言う。使用説明書の索引では、パーキングブレーキとなっていて、サイドブレーキから探すことはできない。これは変ではないか。観光を売ろうとするのなら、その説明があってしかるべきだろう。世界の標準を勝手に変えるのは、おかしい。と、運転中落ち着かなかった。年寄りの運転(ブレーキとアクセルを間違う)がこれだけ問題になっているのに、そちらの(車としての)解決を先行すべきだろうに、それに輪をかけるような変更は何を考えているのだろうと思う。
 とはいえ、ナビの教えに従い、車が少なく信号もない道を快適に走る。1時間で十和田市に到着。

[十和田市現代美術館]
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SANAAの西沢立衛さんの設計。官庁街通りに面して、芝生の中に大小の展示室が並びさらに屋外の彫刻とも一体になって、快適な街並みをつくっている。金沢の21世紀美術館の丸い輪を外して、展示室を通りに沿って並べ直したようだと思う。
 なんと展示変更のために休館中、仕方なく周囲を歩くだけ。同じような人が何組もやって来る。観光案内のパンフレットにはのっていないが、人気の場所だ。

 昼食をすまして、15:30出発、温泉郷へ向かう。
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[酸ケ湯温泉]観光パンフレットで教えられ、300年以上の歴史があるという温泉を訪ねることにする。くろく濡れた木造、白濁したお湯はなんともいえぬ味わいがあって、遠くに来たことを教えてくれた。メインの浴場は混浴。入浴の方法や注意事項が細々と書いてある。40年くらい前まではそんなに驚くことではなかったのになぁと思ったりする。
*山崎まゆみ「だから混浴はやめられない」新潮新書でも紹介されていて、売店で売っていた。
[蔦湯温泉]やはり木造の古い浴場(翌日、掃除の時間に撮らせてもらった)がある温泉。電話で予約して、訪ねた3温泉の中で唯一普通の宿だった。温泉で一緒になった男性は名古屋から車で、平泉~奥入瀬と来たとのこと、ご夫婦での旅のようだ。
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 電話で明日の便の予約をするが、なんと大阪行きは満席とのことで、東京行きになる。その先は着いてから考えることにする。

4・8月31日(水)
 6:00起床、7:00朝食、浴室を撮らせてもらって、9:00出発。奥入瀬渓流へ、まるで若葉のようなみずみずしい緑の中を、ぬうように走る。この緑が一気に紅葉するのかと、想う。
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[奥入瀬渓流]十和田湖からの流れが、深い谷間をぬう水量豊富な渓流になっていて、約14㎞にわたって遊歩道が設けられている。若葉から紅葉あるいは降雪まで楽しめる観光名所。道路も併走しているので、体力や時間によって自由に歩く距離を選ぶことができる。
 2時間歩き、後は車を走らせながら少し歩く。ベンチにすわって、昨夜つくってもらったおむすびで昼食にする。

[谷地温泉]日本3秘湯のひとつ、との看板につられて立ち寄る。年月を経た木造2階建て、湯治客専用のような小部屋が並んでいるが、宿泊は予約ですでに満員。チケットを買って入った温泉は、もちろん木造だがこれまでよりはるかに小さい。壁に入り方の解説があって、ぬるい1の湯に30分~1時間入って、次に熱い白濁した2の湯は5~10分、最後に上がり湯をしっかりかけて出るのだとある。
最初は気付かなかったが先客が、人形のように入っておられる。視線すら動かない相手に、頭は下げたが話かけもできず、15分で切り上げて、2の湯へ、5分も持たない。早々に出たが、硫黄の臭いがしっかり身体に残った。疲れがとれたと言うか、かえって疲れたと言うか、どちらも肯定したくなる。

 以上のひなびた3温泉は、観光地化された温泉しか知らなかったこちらには、驚きであった。やはり訪ねてみるものだ。入浴・各600円。
 笠松峠を越え、八甲田らしい山並みを眺めるとあとは下るだけ、展望台で一休みして青森空港へ。レンタカーを返却して、カウンターへ。大阪行きのキャンセルはなく、ともかく東京へ飛ぶ。
夕日に輝く雲の上を飛んで、久しぶりに羽田へ。すぐに着陸したがターミナルまでが遠い、延々と走っている。外国の空港のようだと思う。
JAL1208 青森17:15~羽田18:45
[羽田空港]何十年ぶりの羽田、まるで浦島太郎だ。特にターミナルを移動すると、その広さや設備の充実ぶりにあらためて驚く。この大きさと賑わいは、明らかに世界のハブ空港のものだ。ここを日常的に利用している人は、日本の国際都市は東京しかないと思うのは当然だろうと思ったりする。
 それだけ日本の他の都市とは違っている。これを感じただけでも、来た甲斐があったとRさんが言う。こちらは、「がんばれ東北」がいつの間にか「がんばろう日本」になってしまうのも当然かもしれないと思ったりした。

 大阪行きのつもりだったが神戸行きがあるのでそれにする。夕食を済ましてから、搭乗。
ANA415 羽田20:15~神戸21:20
 雨の中、タクシーで自宅に帰る22:00。3日ぶりのわが家、シャワーを浴びて寝る。

 最後に、めったにないことに観光地を訪れ、その旅で気付いたこと。
[日本の観光]
 日本の観光というと「おもてなしの心」だと、和服の中居さんがずらりと並んでお辞儀をしたり、にっこり笑ったりする。それはウソっぽい、それをノウハウにしてはならない。

 今回、こちらの旅で感心したのは、駅で乗り換えの時刻と駅名を書いて渡してくれたこと(複雑だからメモが必要だ。そのためのメモ用紙まで用意されていた)。忘れ物をした私に対応してくれた改札や事務所の人、忘れ物を当然のことと受けて熱心に探してくれる、探すシステムが用意されている。そして何より、実際にその忘れ物が当然のように出てくること。
 出発の時間を聞いてからメニューをすすめてくれた店の人。それを気付かせないように軽口で笑わせてくれること。数人で違うメニューを1品ずつ頼むと、取り皿を人数分用意してくれる若い店員さん。
さらに、被災地を見せるとも見てくださいと言わずに、ゆっくりと回ってくれた友人。また、自分たちのこれからの大変さを、この人に言っても仕方がないと笑顔で他愛のない話に受け答えしてくださった被災の人たち。自分には何も関係はないのに、ボランティアに来たというだけで親切を、また大変な歓待をしてくださる人たち。
 そのような普通の人が普通にみせる、思いやりや親切、それこそが世界には絶対にないものだ。

 だから日本に観光に来れば、日本にいる間はあなたも日本人のようなよい人にならなければならない。というより、あなたも日本に来れば、日本人のように「いい人」になってしまう。それが日本という国なのです。ということではないかしら。

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