旅をしている人
田原 晋

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201111~12 地中海5・モロッコ

Morocco 20111121~1211
Casablanca~Marrakech~Kasbahs~Fez~Meknes 
モロッコ[カサブランカ~マラケシュ~カスパ街道~フェズ~メクネス]
[旅で思ったこと]

1.これまでになく沢山の日本人旅行者}
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*左から、マラケシュで親切にしてくれた米倉クン。バスのすれ違いでマイコさんの宿を教えてくれた方。その宿で一緒になったお二人、鈴木さんと西村さん、そしてマイコさん。フェズへの夜行バスで一緒になった名合さん。その他にも、シャウエンへのバスで一緒になったセネガルからの海外青年協力隊のお二人、メクネスのカフェで会った学生さんなど。ほんとうにお世話になりました。ありがとうございます。


 今回の旅ではこれまでになく沢山の日本人旅行者にお目にかかった。あぁこんなに多くの日本の若者が一人または二人で自由な旅をしているのだと頼もしくうれしく思った。これまでの旅で、日本人にめったに会わないと文句を言っていたのは、何であったのだろう。
といってその理由は簡単、モロッコでのこちらのコースが彼らのそれとぴったり重なっていたに過ぎない。ヨーロッパの国と違って、こちらの方がこの国のメインの観光コースを少しもずれないでたどっている(イタリアやスペインでだと、こちらがメインのコースから外れている)。だから会うのは当然なのだ。とはいえ彼らのこの国の滞在期間は少なくて夜行バスなどを利用して急いでいるが、その代わりヨーロッパや南米へと足を延ばして、はるかに長い時間、旅をしている人もいる。それもパソコンやスマホを持参して、それをネットにつないでチケットや宿の予約をしながら時間とお金を節約して、旅をしている。こちらには真似のできないことで、新しい旅のスタイルだと教えてくれる。
ただそのやり方が、同じコース同じ観光地になるのを助長しているのかもしれない。ネットには(例えば地球の歩き方ネット)、もっとも効率的な歩き方が紹介されていたり、質問に答える仕組みができている。「何日間でモロッコに行こうと思う、どうまわればいいでしょう?」などという質問に多くの先輩(すでに行ってきた人)が即座に答えてくれる。その結果、皆さん似たようなコースになってしまう。
メクネスのカフェで、「ヴォルビリス遺跡に行って来ました。ローマ史を学んでいる身にはここは外せない。でもバスがないので、ムーレイ・イドリスから3㎞歩いて行きました」と言った女性がいて感心したのだが、そういう「私はここに行くのだ」という特別な思いだけが、旅のコースを変化させているようだ。
でもそういう思いがなければ旅をするなよとはとても言えない。旅に出ることはとても特別なことというか、人生の中で今回だけという決心をしてきたことが見えてくる。学生さんなら、就職が決まったとかあるいはその活動を先に延ばしたのだとかの条件がある。仕事をしていた人は、それを辞めて来ましたという驚くべき決心をしている。いや旅をしたいから、仕事は何時でも辞めることができる職種を意図的に選んでいる人までいる。
あぁそこまでせっぱ詰まった決心をしなければ旅に出ることができないのか、それを悲しいというか、そのような国にしてしまったことを一世代前の人間として申し訳ない気分になってしまう。
せめて彼たちに、働きながら休暇を取って旅に出る、そういう人生を送って欲しいというか、それができなければ何の人生だよと言うことにしている。そしてこちらはね、働いている頃ね「2年に一度2週間」(の休みを取らせてください)と、念仏のようにとなえていた。その通りにはとてもならなかったけれど、それでも3年か5年に一度くらいは、実際に旅に出ていた。何時も言い続けていれば何とかなるものですよ。
時代が違うと言うでしょうけれど、今だって仲間の一人が結婚すると言えば、1~2週間の休みは取らせてあげるでしょう。まわりがその気になって必死でシェアするに違いない。ならば、それをお互いが常にそういうものだと思って働けばいい。一生に一度と思うか、5年に一度と思うかの違いで、結婚だって昔のように一生に一度と決まっている訳ではなにのだから~。夢のように思うかもしれないけれど、そういう遊びというか楽しみを持つのが生きるということなのだから、皆がそう思ってしまえばいい、少なくもそういう働き方でなければ働いてなんかおれないと思えばいいだから。世界では、そっちが標準だと思いますよ。
そう言うと、みんな「このオッサン(ではない最近はこのジイサン)、何ボケたこと言うてんの」と思うようだ。

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