旅をしている人
田原 晋

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201308~09 ブラジル

3 ラテンアメリカの文化

 

サンパウロのラテンアメリカ記念公園の中に、ラテンアメリカ博物館というのがあり中南米の先住民の文化を一堂に集めている。メキシコ、グアテマラ、ペルーと国別に集められているが、ひとつの大きなホールの中で、それはつながっている。何より透明の床面が大きな地図になっていて、そこにも工芸品が並べられそのつながりがひとつの大きな文化であることを示している。

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同じような工芸の美術館はペルーやボリビアにもあってそれは大変にすばらしかったが、それはインカ、チャンカイ、モチェとそれぞれの文化の違いを強調するものになっていて、歴史の流れを感じさせ、多様性を教えてくれたが、つながりを意識することはなかった。

 

でも誰もが知っていることだが、はるか以前、大陸はつながっていて私たちモンゴロイドの民の一部がアメリカ大陸へと渡って行ったと言う。同じ人種だからごく当然のことだが、中国や日本で独自の文化を創り出したようにこの地でも文化を創り出した。

それは地域的にも歴史的に影響を与えあい、つながっている。それをラテンアメリカの文化として総合させたことは、とても大きい。また歴史的にその文化の爛熟期が、西欧がやって来た時よりはるか以前にあったことを教えてくれる。

私たちはこの地の文化を知らないまま、先住民族の文化として西欧の目を通して理解している。その代表が、映画を通して知ったアメリカインディアンであり、またインカの遺跡ということである。でもその地にも、アジアに唐や魏や宋が、あるいは奈良や平安があったように、独自の文化がはるかに以前から花開いており、その最も華やかな時期はどうやら西欧がやって来る以前にあった。どうも、そういう方が正しいようだ。それは、とても繊細で微妙な面を持っている。

 

そのことを、ごく当然のことに何より驚き、何も知らなかったことを恥じたのであります。それは昨年のペルーでは天野博物館やラファエル博物館などに行ったのに、気付かなかったというお粗末。

そして、そう思ってみると、その伝統がこの地の文化に、いまも生きているのです。西欧やアフリカの黒人の文化まで影響して、この地にしかない文化を生み出しています。美術にも音楽にも。ビラ・ローボスのブラジル風バッハ~

 

 

 

 

4 ビザについて、目の前なのにブラジルには行かない

 

イグアスの滝で出会った学生さんに、明日はブラジルなの?と聞いてみたら、いえ入れないのです。ビザを持っていないからと言う。確かにそれはお金と時間が必要だから、あきらめたのだろう。それはよくわかる。でも、それはとても残念なことだと思った。せっかく数か月を南米で過ごす学生さんに、立ち寄ってもらえないのは両国にとってとても大きな損失だ。ツアーの人たちもアルゼンチン側で半日過ごして、さっさと移動していく。

 

他の国が、どちらかと言えば自然や歴史の遺産を見てもらうことになるのに、ブラジルへの訪問はそれだけでなく、現在のことやこれからのことを考えるヒントを多く提供してくれると思うのだが。

 

なにかの理由があるのだろう。たぶん、観光ビザで日本に入国して不法滞在するブラジルの人が多かったために取られた処置だろうと思うが、それはもっと違う方策で対応したらいいのではないか。ともかく、ほとんどの国と結んでいるような、観光で訪問する人にはビザ不要という条約に変更して欲しいものだ。

 

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