旅遊びの合間・公開講座9「オセアニアの紛争」 丹羽典生 民博准教授
2015年3月12日
旅遊びの合間・公開講座9
「オセアニアの紛争」 丹羽典生 民博准教授」
当日は、吹田の民博集合、講義の後に実際の展示も見ながらの講義。朝10時に阪急山田駅到着、何時ものように万博公園西口から入って、プラタナスの並木道をゆっくりと歩いて、民博に行きました。お気に入りのコースですが、この行き方はこちらひとりだったようです。
さて講義は最初に、オセアニアとはどこかの確認から。5万年前にはできたそうで、ミクロネシア、メラネシア、ポリネシアの3つに分かれています。人類は、ここに数千年前から進出したようで、DNA分析によって、その経路まで推測されています。つまり、ハワイもイースター島もトンガ王国もタヒチも、みんな共通の祖先から生まれています。
ですが、その自然風土やその後の文化、植民地化の影響などによって、社会には大きな差が生まれています。ポリネシアは首長がいる階層的な社会、肌は浅黒くて巨大。メラネシアは階級がなく平等。ミクロネシアはそのどちらもあって、文化的に多様性があり、ここには日本語も残っている場所があったりします。
とはいえ全体的は、とても平和な地域で、食べることに事欠かない自然環境、主食はパンの木(芋のよう)、タピオカ(芋)。また野生動物は種類が少なく、おとなしい(カンガルーのような動物も生き延びることができた)。またカヴァいう嗜好品があって、根を飲むと眠くなる。共に食べることで仲直りをする。それをカヴァ文化と呼ぶ、習わしがあったりするようで、時間にルーズなことが当たり前になっているとのこと。
と言いながら戦争もまたあったようで、武器もまた発達した。その実物が(映像と実物で)示されたりした。なんとも扱いにくそうな大型のこん棒や斧、剣や首吊り用の紐、弓矢そして投石器、もちろん盾、そしてお面などの被り物(鎧兜にあたる)など。もちろん実用として使われたのだろうが、威嚇というかおどし用ではないかと思えるものも少なくなかった。お面は大きな舌を出していたりする。
そして戦いの前には、ハッカという戦争ダンスをする。これはニュージーランドのラグビーチームが試合の前にする踊りとして残っている。1880年頃から行われているが、現在ではフィジーやトンガのチームも独自のダンスを考案して行われている。その映像を見せてもらったが、なんともユーモラスである。これを見事にやった方が勝利、という戦争の仕方もあったのではないかとまで思わせてくれる。閑話休題だが、源平の戦ではお互いが大声で名乗りあい、名人が弓を射って(那須与一の屋島の戦争)それで大勢が決まった例もあったようだ。また戦争文化の一環としての儀礼的な食人の風習も18~19世紀まであったらしい。
講義の後、オセアニアの展示ブースへ行き、実物や映像で確認させてもらいました。民博ならではの、充実したものでしたが、こちらはさすがに疲れて、その後の館内を自由に見る時間は、大半をベンチで居眠りしていました。といって数年間に見た展示とは大きく違っていて、あらためて民博のふところの大きさに感動。あらためてゆっくり見に来ようと思いました。
こちらの興味で言えば、済州島の民家の模型が精密に作られていて、実物が残っているのなら、ぜひ行って見たいと思いました。