旅遊びの合間・公開講座10「アフリカの布と商人」三島禎子 民博准教授
2015年3月16日
旅遊びの合間・公開講座10
「アフリカの布と商人 植民地交易から現代のアフリカ・中国貿易まで」 三島禎子 民博准教授」
まったく知らないブラックアフリカの話ですが、モロッコの南に接するモーリタリアとその南のセネガルから話がスタートしました。モロッコでそこから来たと言う海外青年協力隊の方に会ったことがあって、先生もそこに5年滞在することから研究をスタートしたとのことで、親しみを感じることができました。
布と商人について、講義は古代からの交易、そして植民地交易へ。奴隷という新商品も、農産物や鉱物と同じように扱われ、それぞれに仕組みが整備されていきました。それらを担ったのが、ムスリム商人とも言われるソニンケ民族で、ガーナ、マリあたりの出身ですがアフリカ各地から世界(フランス、マダガスカル、イスラム諸国からインド、香港)へひろがっていきました。華僑と並ぶ交易民族といえます。苗字からそれがわかるらしく、先生はそのネットワークでアフリカ各地へ出かけることができたとのことで、その実際の話などはまるで冒険小説のようでとても興味深いものでした。
結果としてアフリカでは布を作ることはなく、すべて輸入によることになってしまいました。アフリカ民芸と見える色柄もすべて輸入商品だそうです。また一面としてアフリカは物価が高く(2.5倍くらい)、貿易(小さな取引から大きなものまで)がやりやすいものになっています。~そのことがアフリカの貧困を救えないものにしている一面があると思うのですが、それは今回の話題ではありません。
またフランスの移民事情についても触れられましたが、外国生まれの人が530万人、移民2世(フランス国籍を持つ)が650万人で、全人口の19%で、ドイツとまったく同じなのに驚きました。
と同時に、日本の外国人労働者へ対する考え方の浅はかさ、というか将来についてまるで考えられていないことに危機感を持っておられるようでした。
先生のお考え「世界の人がやって来る事態に対して、差別はしないが区別する。区別しながら、共存する」というご提案についても、具体的な方策を伺えなかったことが、とても残念でした。
さらに、その先生から見て、日本は人口の減少をどうするかが大問題なのに、そこで経済伸長を目指すことはまったく矛盾する政策とのこと。そのあたりも、詳しく伺いたかったが、それは今回のテーマと違い過ぎたのがとても残念なことでした。
いずれにしろ、スタート時点で、こちら側のあまりの常識のなさがお話を深くすることをすべて遮ってしまったようで、何より申し訳なかったというか、ほんとうに悔しいものでした。
ともかく現地を草の根から見ておられる民博の先生のご意見を、日本の政策にもっと取り入れて欲しいものだと願ったりしました。