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2010~11建築トラベル(安藤、SANAA、コルへの円弧)
2010年12月19日
201010~11(LeCorbusier,Ando,Sejimaへの円弧)
Ljubljana~[Venezia~Ronchamp]~Bruxelle 20日間
スロベニア~[ベネツィア~ロンシャン]~ベルギー
1. 建築ビエンナーレ
ベネツィアで開かれている第12回 建築ビエンナーレへ行った。企画展は一人のディレクターが出展者を選ぶ方式で、今回はそのディレクターに妹島和世さんが選ばれている。日本人としても女性の建築家としても、初めての選出とのこと。彼女とは20年も前だがあるプロジェクトでご一緒したことがあって、今も応援しているというか、注目している。
アルセナーレという以前の国立造船所が会場。入ってすぐSANAAの2月に完成したローザンヌの大学の教育センターが立体映像の大画面で紹介されている。(SANAAとは、妹島さんが最初は所員であった西沢立衛さんと共同でやっている設計事務所。名前は聞いた訳ではないが、妹島アーキテクトと西沢アーキテクトのアソシエーションというところかな?いいネーミングですね。今年は建築界のノーベル賞といわれるブリッカー賞を受賞までしている)会場では、それから選ばれた建築家や美術家の展示が一部屋ずつ続く。模型や構造の一部、あるいは映像など。
だが正直言ってシロウトのこちらに建築の展示はよくわからない。映像やパフォーマンスはアートとして見れば不十分だし、文章はわからない、模型を見る目もない。霧が出ると見えなくなる橋、ゴロンと置かれた大きな梁、針金でくくられた木製のドーム、なるほどとなんとなく意図はわかるが、それでどうなの?と思ったりする。途中で会った日本の若い建築家さんに話を聞きたかったが、はぐれてしまった。午後はジャルディー二(カステッロ公園)、昼食は芝生のテーブルでサンドイッチ。お天気は晴れたり曇ったりのヨーロッパの空。ここは国別の館があって、国別に出品されている。イタリア舘は企画展の続き。日本館は貝島さんが自分の事務所兼住宅を新しい形として再現させていた、確かに都市はどこも狭小になっている。
一日を過ごしてこちらが思ったのは、日本の建築家は外国の人のように楽天的というか思考が一面的でない、真面目に理屈でいろいろと(作品にする以前のことを)考えている。妹島さんすら、ここで見るとそうだ(彼女が考えた今回のテーマは、People meet in Architecture だ)。それは世界の中で相当に特異な存在に思える、建築家になるために高い偏差値が必要という条件があるためだろうか。仕事が少ないこの国の状況が影響しているのか。平穏な時代なら、おそらくマイナスに働くだろうそのような思考が、どうなるかわからない現在では逆に大変に有利に働いているように見える。今はそういう時代なのだ(コルビジュエも論説からスタートしたではないか)。
ここで見る外国の建築家は省エネもアクロバットのような構造も、作品をどう造るかでとらえているようだし、ここにいない日本の建築家の多くは作品にすることなどあきらめて、ともかく売れたらいいと努力している。とまるで思ってもみなかったことを考えながら、夕暮れの近い会場を後にした。
2.SANAAの学習センター
ローザンヌの中心部から地下鉄(すぐ地上に出る)に乗って約20分、駅名EPFL(Ecole Polytechnique Feder ale de Lousanne、ローザンヌ工科大学)で下車。大学に向かって歩き、そのまま構内へ、さらに真っすぐに進むと、目の前にRolex learning centerが現れる(注意していると途中に案内の地図がある)。
日曜も開いていて誰でも入れる。建物は、ハンカチを広げて手を放すと曲面を持ったまま地面に向かう、その瞬間を再現したように床面はやわらかいカーブを描いている。床下もそれを反転したようなカーブを描いていて、建物の下もまた歩き回るというか、通り抜けができる。世界で最初の二重ドーム建築と解説した記事があって、確かに天井と床面が同じドーム形状(曲面)だから言い方としては正しいが、そのやわらかな雰囲気は伝わりにくい。
縦横160m×120mの大きなワンフロアー。白い丸柱は目立たず、全体を見通すことができるのだが、床面の高低とあちこちにあけられた円や楕円の中庭によって視線はさえぎられて、だだっ広さは感じない。内部には、図書館、小ホール、本屋、レストラン、カフェなどが、配置されて、ワンルームであると同時にそれぞれの機能を確保している。また、あちこちにデスクやテーブル、クッションなどが置かれて、数人で話し合ったり、一人で時間を過ごすこともできる。冬の長いこの地域では特にありがたい空間になっている。日曜の午前、一人で本を読んでいる学生さんや、親子で遊びに来たらしい人もいた。
こちらも雨まじりの寒い天候の中、内外を歩き回って1時間、カフェでラッテをもらって一休み。受付(Welcome Desk)で尋ねると案内地図(1フラン)があった、絵ハガキはなし。さらに窓際のデスクを占領して、メモの整理など。結局11時までいた。団体でぞろぞろはまずいだろうが、数人ならとがめられることもなく自由に(図書館やホールは入れないが)この新しい空間を楽しむことができる。
それは自然とも街角とも違う、これまでにない場所だが、SFなどで描かれる宇宙船の中のような空間ではなく、雰囲気はやさしくとてもくつろぐ。言葉があれば、知らない同士でもごく自然に話ができそうだ。こういう未来なら来てもいいなと思える空間だ。
3. 祈りの場所
ル・コルビュジエのロンシャン礼拝堂。時期が良かったのか訪れる人が少なく、誰もいないチャペルの中に一人ですわっていた。神様の場所だから、するなと言われた写真を撮る気にはならない。
床まで伸びていた光がゆっくりと動いて、ふと消える、すると今度は南側のガラスがこれまでより色を鮮やかにする。そのような時間の中にいると、何時もは感じないことを思うようになる。最初は、床が大地の傾斜をそのままなぞっていることに気付く。その荒い仕上げ、どこまでが自然のままで、どこからが造ったものなのか。天井が片流れから中央がくびれる形に変化しているが、水の流はどこで変化するだろうか。また3つある光を取り入れる窓は、方向によって明るさが微妙に違うことに気付いたりするが、やがてそんなことはどうでもよくなる。
人は祈る動物だ、どのような人も祈ることだけは共通している。そして建築家はこのように見事な祈りの場所を設計することができる。それは選ばれた建築家だけに可能なことかもしれないが、ともかく世界は祈りの場にあふれている。だがそれはいずれも、一部の限られた人だけを相手にした場所になっている。すべての人が並んで祈る場所はない。こちらは異教徒として、ここに坐っている。20世紀はそういう分断の時代だったと言える。
世界にはいろんな人がいて、すべての人が仲良くはなれそうにない。一人ひとりが並んですわればお互いそんなに違わないとわかるが、離れてしまうとまるで理解できない相手に思えてしまう。国が、言葉が、宗教が、人種が違うと、もうそれは決定的なものに思えて、それぞれが自分の神に祈りをささげる。
21世紀の現在に求められている場所といえば、人間であれば誰でもが隣にすわって祈ることのできる場所かもしれない。祈る神は違っても、誰でもみんなが並んで坐って祈ることができればいい。そのような場所を世界中につくることが、何より必要だろう。その設計が、選ばれた建築家に求められる21世紀の新しい仕事に違いない。
こちらが思うようなことは、誰でもが考えることだろうから、やがてそういう場所を求める気運は盛り上がり、実現に向かうだろう。でも、それはどんなに急いでも構想に10年、建築家に依頼して設計するまでにさらに10年かかるだろう。実現にはさらに10年。となると、こちらには設計図すら見ることができないと、ちょっと残念な気がする。
4.アーキトラベル(建築を見る旅)の新コース
以上3都市を連ねて、アーキトラベル(建築を見る旅)の新しいコースになると思った。最初のベネティアでは、ビエンナーレは終わったが安藤忠雄さんの新しい美術館がある。
これは昔の建物の改築で安藤忠雄らしさは少ないと思われるかもしれないが、逆に彼の到達点を示した代表作のひとつに違いない。というより「彼の作品」が、西欧を代表する都市に何の違和感もなくおさまることを示している。確かに彼らしい外観はないが、コンクリートの打ち放しは計算しつくされて挿入され、名人芸と言えるまでに美しい。また同じような改築で見事な作品を残したCスカルパへの敬意を示した部分もあって、大変に知的な建築になっている。それは彼の作品と書いたところに、「日本を代表する文化」と書き直してもいいと思えるほどだ。
そのベネティアからローザンヌへは、わずか7時間で行くことができる。さらに、ここからロンシャンのあるベルフォートまでの間には、ベルンやバーゼルという都市があって、欧州の現在を代表する建築家・マリオ・ボッタ、Rピアノ、ヘルツクオーク&ドムーロンなどの作品が沢山ある。
そして最後に20世紀を代表するコルビュジエという並び方も、理想的であるように思う。これからの都市や建築の在り方について考えるにふさわしいコースだろう。
特に、若い学生さんにはぜひ訪ねて欲しい。旅をしていて、若い日本人に会えないのは、なんとも悔しい。一時は韓国の人が多かったが、今回は中国の若い人が多くて驚いた。日本人は若い人も含めて、観光地のとても狭い地域でしかお目にかかることができない。これはとても大きな問題だ。行った人はそのことに気付かずに帰国して、その行程はまたネット上で他人に紹介され再生産されているに違いない。
2010^11建築トラベル(安藤、SANAA、コルへの円弧)
2010年12月18日
(LeCorbusier,Ando,Sejimaへの円弧)
Ljubljana~[Venezia~Ronchamp]~Bruxelle 201010~11
スロベニア~[ヴェネツィア~ロンシャン]~ベルギー
[旅の前に]
1)前回のイタリアの旅行時に、ヴェネチアに寄って新しく完成した安藤忠雄さんの美術館に行こうと思っていたら、秋にある建築ビエンナーレの総合ディレクターに妹島和世さんが選ばれたというニュースが入ってきた。どうせ行くのなら一緒にしたいと、秋に延期した。
で、その前後をどうするかだが、久しぶりの建築を見る旅だから、それにふさわしいのはコルビジュエのロンシャンだと地図を見る。鉄道を重ねると、ミラノを通過してとてもうまくつながる。
さらに発着の空港をどこにするかとその前後を伸ばしていくと、片方はアールヌーボーのブリュッセルに、もう一方は街歩きの番組で行きたくなったスロベニアのリュブリャナにたどりつく。全体は、なんとなく円弧を感じさせてくれる。「現代建築への円弧」というタイトルを思いつくと、途中のバーゼルやストラスブールに立ち寄るとこともふさわしい。久しぶりの建築を見る旅(アーキ トラベル)が実現することになった。
2)これをブログに書いたら、建築家の澤良雄さんがブリュッセルのアールヌーボーについた書かれた雑誌のコピーを送ってくださった。持つべきものは友人である、感謝。
3)さて開幕したビエンナーレでは、石上純也さんが金獅子賞を獲得したとのこと。その展示会が資生堂ギャラリーであって偶然見ることができ、彼がどのような考えをしてどのような作品を作る人か知ることができた。なんとまぁオヤと感心(12月26日まで、豊田美術館で展覧会がある、行けるかな?)。
またSANAAの新作(大学施設)がローザンヌにできている。見学できるかはともかく行ってみよう。
1・10月18日(月) 六甲島発 07:23~関空着08:20
ルフトハンザ航空 LH741便 関空9:50~フランクフルト15:00
アドリア航空LH2452便 フランクフルト19:00 ~リュブリャナ20:15 Ljubljana1 Hotel Slon1泊
久しぶりのルフトハンザ航空、エコノミークラスも座席が薄型のデザインでちょっとだけ楽なこと、トイレが集合して階下にあることなど、他の便にはない快適さがある。食事もおいしかった。
ただしフランクフルト空港の待合コーナーは古くて暗く、4時間さらに1時間出発が遅れた。でもリュブリャナの空港ではリムジンバス9eurがあって、ホテル前で降ろしてくれた。部屋到着22:30(Slonとは象)。
2・10月19日(火)スロベニア リュブリャナLjubljana2 Hotel Slon 2 泊
それでも6:30起床、8:00朝食、豪華、高級ホテルだった。9:00出発、寒い。3つ又橋、竜の橋、城と歩くと、もう観光は終わる。露天市場、城山の道、カプチーノなどで時間が過ぎていくのを楽しむ。皆さんとてもやさしい。Tシャツを見ていたら、Sloveniaにはloveがあると教えられ、それを求める。明日のチケットを買いに行くと、列車は夜中の2時、バスは朝それぞれ1本だけと知ってバスにする、25eur。町の真ん中のホテルはトイレとしても使えたし便利だった。夕食は部屋から見えたピッツア屋、ひさしぶりの石釜の味。
3・10月20日(水)リュブリャナLjubljana 8:15~ヴェネツィアVenezia12:00 所要3:45h
7:00朝食に行くと日本人(カップルと女ひとり)どちらもベネティアから列車で苦労して来ていた。クロアチアへ行くとのこと。こちらのバス、乗客は3組+当方の7人、来たのは8人乗りライトバン。荷物を積み、定刻出発。1時間で国境、休憩。11時V-mite駅到着、列車で橋を渡ってV-StLuccia駅へ、皆さんと別れる。
ネット予約のホテル、届いていないとのことだが裏部屋に、海は隙間から少しだけ。快晴で暖かい。
先ずは近くの安藤さんの*Punta della Dogana (海の税関)美術館へ、運河をへだてたサンマルコ広場の正面という一等地。ほんとうに美しく打ち放しコンクリートの壁床が挿入され、美術館として再生している。またこの地の建築家C.スカルパの鉄格子のリデザイン導入や、古い壁や柱の残し方もセンスに溢れ、安藤色をおさえた仕上がりに、ここまで到達されたのだとすっかり感心した。間違いなく代表作のひとつだろう。
美術館はピノー財団の現代美術のコレクション、もう1ヵ所別の美術館があり、どちらも中心のひとつに中村隆の作品があって、なぜ彼が世界の一流作家なのかが少し理解できた気がした。簡単に言ってしまえばアニメを芸術の域に高めているというか、アニメというサブカルに意味を与えているのではないか。
夕食はホテルで6時半から食べさせてくれて、うれしい。ブロッコリーのスープ、シーバスのムニエル、デザートはクレープ、エスプレッソ。お湯をもらって、部屋でお茶。 Venezia1 Hotel La Calcina 1泊
4・10月21日(木)イタリア ヴェネツィア Venezia 2 Hotel La Calcina 2泊
水上バス48時間券28eurを購入。サンマルコ広場へ、なんと半分水に浸かっている、写真では見たが初めて体験。足場の上を歩くが、同じものがたくさん積み上げられている、浸水が日常化しているのだ。この都市を水没させてしまう訳にはいかない。ヨーロッパの人が温暖化に熱心な筈だ。
また町に帰って行ったり来たり、時計台やスイス連邦議会議事堂。
それから公文書館(Herzog& deMeuron)外観は確かに格好良くお見事だが。郊外のwestside(リベスキンド)ベルリンのユダヤ博物館の鋭角デザインが商業施設にも合うのに驚く。どちらも何故か少し悲しい。建築は格好だけでは、なにか足らない。夕食はビュフェ式、洋風トンカツおいしい。スーパーの経営するこの食堂(2回目)、老夫婦や独り者の居間(時間つぶしの場)になっている。 Bern1 Hotel National 2泊
9・10月 26日(火)ベルン9:04~バーゼル9:55
国境の町・バーゼル、旧市街と新建築の都市。iでホテル紹介、建築紹介のパンフもあった。ホテル近所にHerzog& deMeuronのビルがあるので見る(なるほど)。帰りの広場でお祭り、沢山の屋台が出ている。食べ物も多い。そのまま昼食、大ソーセージと薄焼きとハシゴ。歩いたのは旧市街(ライン川南側)、市庁舎(半分が改装中)、大聖堂、観光客でいっぱいだが日本人には会わず。夕食もまた屋台、ポテトにチーズ、小ソーセージとパン、焼き菓子(ほとんど3~6Fと安い、使い捨ての木製皿とフォークが気に入ってもらう)。
*ホテルは公共交通無料のカードをくれる、日本も観光を売るのなら真似してほしいシステムだ。
Basel1 Hotel Bildungszentrum21 泊
10・10月 27日(水)バーゼル16:30~ミュルーズ~ベルフォト18:40 Basel2
ホテルを移動。まずJティンゲリー美術館(Mario Botta)へ開館11時なので外観だけ。続いて、郊外のVitra社(工場&美術館)へ、説明ツアーで見学。Frank O.Gehry博物館と工場、Zaha Hadid消防署、BuckminsterFuller催場、Ando Tadao迎賓館、Herzog& deMeuronショップと食堂。SANAA工場・計画中。安藤べたほめに唯一の日本人として面映い。(支払いが全部ユーロ、後でここはドイツ国内と知った)
帰りにバスを乗り継いでハイエラー美術館 Renzo Piano、落ち着いたたたずまいに感心。Wien1900という特別展をやっていて思わぬクリムトやエゴン・シーレ、常設展ではジャコメッティやロスコに会って満足。夕食はまた屋台でローストビーフのドッグ、マッシュルームのリゾット(使い捨ての木製フォークと皿に感心)。お土産を少し求める。ホテルで明日の行動のチェック。 Basel2 Hotel Spalentor 泊
11・10月 28日(木)バーゼル~ベルフォト
まず聖アントニウス教会(鉄筋コンクリート1920年代)、それから駅近辺のHerzog& deMeuron(駅信号塔、工場、新美術館?)のつもりで、ついでに明日のチケットを買いに行くと、明日はストで列車は動かぬ、今日中に行けとのことで予定変更。行動はそのまま新美術館?は閉館で外観のみ。
駅周辺のビルや銀行(MarioBotta)、最後にティンゲリー美術館へ、みんなを子ども心にさせる彼の作品に感心。建物もいい、
ホテルで荷物を受け取って出発*Basel 16:30 Mulhouse乗換 Belfort18:46
ベルフォート到着、駅でロンシャン行時刻を調べてから、もう暗い町を勝手知った風?に歩いて、やっと3星ホテルを発見。駅前にないと思ったら、幹線道路に向いていた。 Belfort1 Hotel Boreal 泊
12・10月 29日(金)フランス ベルフォト ロンシャン教会LeCorbujie Belfort 2 Hotel Boreal 泊
7:00朝食のパンをひとつもらっただけで駅へ。なんとストで列車は動かないとのこと。後で思えばそこでホテルに帰ればいいのに、タクシーを探して乗ってしまう。8:00到着するが閉まっている、ハガキを出しに来たシスターが開門は10時、礼拝があるから入れる訳にはいかない「いい散歩道はあるけれど寒いわね」と申し訳なさそう。確かに寒い、木陰は霜まである。といって下の町まで2kmを歩く気もなく、山の中で待つことにする。落ち葉を踏んで歩く、やっと太陽が顔を出す。日だまりのベンチを見付けてパンをかじる。タクシーをなじる気も、自分をせめる気もなくなって、それはそれでできない経験だと思う。
早い目に戻ったつもりがもう開いていて、朝日に輝くチャペルが待っていた。カメラは外だけとのことで、ゆっくりと歩く。先客が出たので中へ。掃除のシスターが消えた後はもう誰もいない。床までのびていた太陽の光が動いて、やがて消える。今度は色ガラスが輝きを増してくる。カメラを向ける気にもならず、ただ坐っていた。写真や図面を何度も見て、よく知っている筈の場所だが、その光の変化はやはり来てみなければわからない。明かりとりの窓から落ちてくる明るさの変化、同じような3つがそれぞれ少し違うこと、片流れの屋根が真ん中がくびれる形に変わっていく様子。シスター達の住まい部分、メキシコのピラミッドのような展望台、鳩の彫刻、などなど。やはりこれは20世紀の代表作だと思う。
黄葉の木々と落ち葉、飛行機雲が見える澄んだ空、時々訪れるけれどすぐ帰っていく見学の人。いい時期のいい時間に来たことを、うれしく思う。12時もうタクシーが待っている、開いたお店で絵ハガキを買い、トイレを済まして乗る。駅に帰って料金、約束の35ユーロを払おうとすると、2度行ったと文句を言う、あまりケンカをする気もなく60ユーロを払うが、やはりもう少し頑張るべきだったと思う。
そのまま町へ、ここはその名(美しい城)の通り5角形の城壁都市だったようだ。城跡の展望台まで上がる。こちらリヨン、こちらパリと方角表示、遠くアルプスらしき山並みもあった。昼食は町でラザーニア、夕食は昨日と同じホテル前のレストラン、昨日魚、今日は肉、明日出発するとシェフにお礼を言う、若い夫婦の店。
旅の大きな山を越えた気分、久しぶりに落ち着いた時間、日本茶をいれハガキを書く。
13・10月30日(土)ベルフォト10:57~コルマール12:00 コルマール旧市街 Colmar Hotel Rapp泊
出発前Belfort駅構内のカフェでカプチーノ(屋外はもう寒い、となると囲いのない広い屋内が快適)。列車はMulhouseムリューズ乗り換え、急に観光客が増え、Colmarコルマールで沢山の人が降りる。旧市街のiへ、沢山の人。地図だけもらってホテルは自分で探すことに、2軒目で空き部屋があって決める。
そのまま町へ、日本人の若い家族連れに会う、パリからとか。ハーフチェンバーの住宅、水路を行く観光ボート、おとぎ話のイメージのヨーロッパの田舎町そのものなのだろう。町はすぐ終る。唯一のウンターリンデン美術館に行くが、なんということなし。石造りの市場あったので入ると、カウンターの食堂がいろいろ。鶏足の鍋にクスクス?が出て聞くとチュニジア、満足。夕食もう一度行ってハム、チーズ、パン。夕刻になると、人が少なくなり急に静かに、日帰り客が多いようだ。部屋でお茶。
14・10月31日(日)今日より夏時間終了 コルマール10:05~ストラスブール10:30
8:30朝食、散歩。誰もいない町は、昨日とはまるで違って見えて、可笑しかった。チェックアウトして駅へ。駅前で日本人のひとり旅の中年女性、NYに40年在住、立ち話で別れたがちょっと残念。彼女が、今日から本来の時間と教えてくれる。こちらの時計を1時間遅らせる、町に人がいなかった筈だ。得をした気分。
Strasbourgはすぐ。駅は古い石造が、すっぽりと円筒のガラスにおおわれていて見事(知らなかった、どなたの設計?)。ホテルは旧市街を分ける運河や教会を一望する部屋、下に気持よさそうなカフェがある。
まず大聖堂へ、想像していたよりはるかに大きい、内部もいい。周辺の建物も見事なものが多くて興奮。昼食は裏手のカバブ屋さんで満足(羊ハンバーグ、昨日から急にアラブだ。観光客を避けるとこうなるのかな?)近くにおいしそうなケーキ屋さんがあったので、チーズスフレとカフェラッテ、これも満足。元気になったので、大聖堂の塔に登る60m、上でアルゼンチンから留学の日系3世に会う。写真を撮ってもらう。
駅でチケットを購入(高齢者割引にする、これまで忘れてた)。部屋で少し午睡。夕食は大衆食堂で魚(早い時間開いていたのはここだけ、隣に中国人サラリーマン一団)。ホテル下のカフェ、パソコンを開いている人が数人いた。部屋でノート整理。1星の安ホテル、眺めは楽しいが床が傾いているし、少し寒い。 Strasbourg Colmar Hotel 泊
15・11月 1日(月)Strasbourg EC行政地区、ストラスブール14:36~ルクセンブルグ16:45
7時散歩に、今日は快晴。誰もいない大聖堂前、内部は儀式中、周囲の建物をあらためて見る。プチフランス地区へ、ハーフチェンバー住宅が並んでいる。開いているカフェがあってオーレ、途中で買ったパンをかじる。部屋に帰りチェックアウト、荷物を預けまた出発。トラムのチケットを求め(自動販売機の使い方を、通りすがりの人に教えてもらう)、終点近くのEC政治地区へ。人権裁判所(Rロジャース)議会ビル、どちらも広い運河に面した別世界。ECという組織の巨大さを感じると共に、それは住む人の感覚と離れてしまうのは仕方ないだろうとも思う(巨大な組織は、結局どこも同じようなものだろう)。中心部に帰って食事、大聖堂裏手のレストラン、vealステーキ、添えられた温野菜も見事で、今回の旅でいちばんおいしい食事(しかも安い)で感激した。駅へ急ぐ。列車は予定通り。
無事到着、駅前のホテル、清潔ですっかり気に入り、2泊にする。部屋で確認すると、明日はブリュッセルのホテルを予約している。結局先方を断る。夕食は大繁盛のピッツア屋ベラナポリ。部屋でゆっくり。
Luxembourg1 City Hotel泊
16・11月 2日(火)ルクセンブルグ 旧市街 Luxembourg2 City Hotel 泊
8:30食事9:00出発。橋を渡って、3方を渓谷に囲まれた丘の旧市街へ。大聖堂、iで地図、一通り歩いてカフェで休む。歴史美術博物館(デユフィ特別展)、その近所で昼食(今日の料理の看板につられる、まずまず)。丘の先端の展望台から谷底に降りて、川沿いに歩く、紅葉が美しい。渡った橋を見上げる。街に戻り引き上げる16時。夕食はまたベラナポリ。NHK国際放送を見る。1日遅れたブリュッセルへ、早朝の出発にする。
17・11月 3日(水)ルクセンブルグ6:20~ブリュッセル9:30 Bruxelle1・ Hotel Saint Michel 泊
アールヌーボー 中央駅、元百貨店(楽器博物館)オルタ自邸(博物館)その周辺の住宅
6時ホテル出発、駅へ、まだ暗い。始発、苦労して荷物を網棚に上げる。7:30頃に明るくなり、資料を読んで勉強。少しずつ乗客増加。中央駅より30分前に着くBルクセンブルグ駅から歩くことに、街の大きさを肌で感じるためだが、降りる人わずか。楽器博物館、中央駅を見ながらグランプラスへ。公爵の館内のホテルは広場が見える部屋、広いが安ホテル。すぐ出発。
今日はオルタ。まず中央駅そして楽器博物館。昼食スープにパン。オルタ邸付近のアールヌーボーの住宅(みな外観だけ)。そしてオルタ自邸(博物館)。
細部まで手の込んだ仕上げに感心するが、それだけに一般解にはなりにくいと思う。何よりこのような自邸に住むことができた彼(と同時に彼の時代)を良かったねと思う。見つからなかったサン・シルの画家の住宅の場所を教えてもらうが、見つからず。疲れてカフェで一休み。メトロで帰る。6時ホテル下のレストランでムール貝、それだけで充分と言われ(おいしかったが)確かに少し残したほど。 部屋でノート整理と、明日の行動計画。広場は夜中人が絶えず、大声をあげる人もいた。
18・11月 4日(木)ブリュッセル2 Bruxelle2・ Hotel Saint Michel 泊
ストックレー邸、美術館、元商店(マンガ博物館)大聖堂、 広場周辺、ギャラリー
7時朝食に降りると日本女性ひとり、挨拶だけ。8時出発、中央駅で空港行列車を確認。オルタギャラリーを発見。地下鉄でストックレー邸(J.Hoffman)塔部分が改装中。マルグリッド美術館(膨大だがなぜか最優秀作品がないように思った)、人がいっぱいになり昼食をすまして、出る。マンガ博物館、カフェで完成時を想像してみた。
疲れて部屋で一休み、また出掛けて駅で空港行チケット購入。美術館に戻る気にならず(ブリューゲルはあきらめる)、ギャラリー(ガラス屋根の商店街)を歩いてお土産を買う。それにしても観光客が多い。6時夕食。部屋でお茶、これで旅は終りかと広場を見ながらブリュッセルさんに申し訳ない気持ち。
19・11月 5日(金)ルフトハンザドイツ航空
LH1009便 11:20 ブリュッセル~12:20 フランクフルト
LH740便 14:20 フランクフルト~大阪(関空)
9時前ホテルをチェックアウト、空港にはすぐに到着。フランクフルト便はタイに出張という若い白人女性。大阪便は出張帰りの京都の機械エンジニア。いろいろ聞くが、新入社員を育てるのにシカゴで冬を過ごさせているという話が面白かった。いずれにしろ日本の今の若い人はかわいそうだと話し合った。
*大学3年の夏休み、就活に走るなら世界を歩き回ってきた方が有利ではないかと思うのだけど~。
20・11月6日 09:35 大阪(関空)無事到着、日本は暖かい。通関はすぐ終わるが、六甲行バス1時間待ち。
201010~11建築トラベル・ベネティア~ロンシャン
2010年12月17日
写真がつかないまま発表することにしました。お許しを、いずれ写真をつけます。・写真を付けようと思っていると、年を越してしまいそうですから、しばらくの間これでお許しください。
201010~11(LeCorbusier,Ando,Sejimaへの円弧)
Ljubljana~[Venezia~Ronchamp]~Bruxelle 20日間
スロベニア~[ヴェネツィア~ロンシャン]~ベルギー
1・10月18日(月) 六甲島発 07:23~関空着08:20
ルフトハンザ航空 LH741便 関空9:50~フランクフルト15:00
アドリア航空LH2452便 フランクフルト19:00 ~リュブリャナ20:15 Ljubljana1 Hotel Slon1泊
2・10月19日(火)スロベニア リュブリャナ Ljubljana2 Hotel Slon 2泊
3・10月20日(水)リュブリャナLjubljana 8:15~ヴェネツィアVenezia11:00 所要2:45h
*Punta della Dogana (海の税関)美術館 安藤忠雄 Venezia1 Hotel La Calcina 1泊
4・10月21日(木)イタリア ヴェネツィア Venezia2 Hotel La Calcina 2泊
*Biennale di Venezia 12th International Architecture Exhibition ・Director 妹島和世
ジャルディー二(カステッロ公園).アルセナーレ(国立造船所)2010.08.29~11.21
5・10月 22日(金)ヴェネツィア 美術館 Venezia3 Hotel Agli Alboretti 3泊
6・10月 23日(土)ヴェネツィア8:58~11:25ミラノ12:25~スイス ローザンヌ15:40 Hotel Elite 泊
7・10月 24日(日)ローザンヌ12:45~ベルン14:00
*ローザンヌ) EPFL Rolex学習センターRolex learning center SANAA
*ベルン)Paul Klee美術館 Renzo Piano Bern1 Hotel National 泊
8・10月 25日(月)ベルンBern 旧市街、スイス連邦議会議事堂 Bern2 Hotel National 泊
9・10月 26日(火)ベルン9:04~バーゼル9:55
大聖堂、市庁舎、聖アントニウス教会、 Basel1 Hotel Bildungszentrum21 泊
10・10月 27日(水)バーゼル Basel2 Hotel Spalentor
*Mario BottaJティンゲリー美術館、Vitra社(工場&美術館見学)、ハイエラー美術館
11・10月 28日(木)バーゼル~ベルフォト
*Herzog& deMeuron(新美術館、シグナルボックス、駅タンク塔、工場)、ティンゲリー美術館
・スト予定で急遽出発Basel 16:30 Mulhouse 13:50 L 16:50 Belfort18:46 Belfort1 Hotel Boreal 泊
12・10月 29日(金)フランス ベルフォト *ロンシャン教会LeCorbujie Belfort 2 Hotel Boreal 泊
13・10月30日(土)ベルフォト~コルマール コルマール旧市街 Colmar Hotel Rapp泊
14・10月31日(日)[今日より夏時間終了] コルマール10:05~ストラスブール10:30
Strasbourg ストラスブール旧市街、大聖堂 Strasbourg Hotel Le Colmar 泊
15・11月 1日(月)Strasbourg EC行政地区、
ストラスブール14:36~ルクセンブルグ16:45 Luxembourg1 City Hotel泊
16・11月 2日(火)ルクセンブルグ 旧市街 Luxembourg2 City Hotel 泊
17・11月 3日(水)ルクセンブルグ6:20~ブリュッセル9:30 Bruxelle1・Hotel Saint Michel 泊
*アールヌーボー 中央駅、元百貨店(楽器博物館)オルタ自邸(博物館)その周辺、
18・11月 4日(木)ブリュッセル2 Bruxelle2・Hotel Saint Michel 泊
*ストックレー邸、 美術館、元商店(マンガ博物館)大聖堂、 広場周辺、ギャラリー
19・11月 5日(金)ルフトハンザドイツ航空 LH1009便 11:20 ブリュッセル~12:20 フランクフルト
LH740便 14:20 フランクフルト~大阪(関空) 20・11月6日 09:35 大阪(関空)到着